良質なたんぱく質、ビタミン、ミネラルなど、栄養バランスに優れ、万能食品と言われている納豆。
体にさまざまな健康効果をもたらす納豆ですが、ヨーグルトやオリーブオイルと一緒に摂ることで、その効果がパワーアップするのだとか。
ここでは、納豆と食べ合わせが良いといわれるヨーグルトとオリーブオイル、その効果について検証したいと思います。
納豆とヨーグルトの食べ合わせ効果
納豆もヨーグルトも手軽に食べられて続けやすい発酵食品です。
ヨーグルトには、ビフィズス菌が入った「ビフィズス菌入りヨーグルト」とビフィズス菌が入っていない「乳酸菌入りヨーグルト」この2種類に分けられます。
ヨーグルトの発酵には乳酸菌がかならず必要ですから、すべてのヨーグルトに乳酸は入っていることになります。
それにビフィズス菌を加えたのがビフィズス菌ヨーグルトというわけです。
納豆にこれらのヨーグルトを加えたとき、どのような変化が見られるのでしょうか。
乳酸菌入りヨーグルトとの食べ合わせ
乳酸菌入りヨーグルトの乳酸菌は、おもに小腸で栄養分の分解や吸収をし、免疫力を高めたり、ビタミンを合成したり、ぜん動運動を促すなど、とても大切な働きを行います。
小腸には、体内の全免疫システムの6~7割が集中しているため、腸内環境が悪くなると免疫力の低下、病気への引き金になりかねません。
一方、納豆は大豆を発酵する過程でナットウキナーゼ、ビタミンB群、ビタミンKといった栄養素を生み出します。
ナットウキナーゼは血液中の血栓分解酵素を活性化させますし、ビタミンB群はエネルギー供給や老廃物の排出を促します。
ビタミンKは骨を形成するたんぱく質を活性化させ骨粗しょう症の予防など、納豆に含まれる栄養は健康面で大きく働いています。
このことから、乳酸菌入りヨーグルトに含まれる乳酸菌と納豆に含まれる納豆菌、どちらも体にたくさんの良い影響をもたらす食べ物だということが分かります。
納豆の納豆菌がヨーグルトの乳酸菌を増やす
納豆と乳酸菌入りヨーグルトの相性は非常に良いと言われています。
それは、納豆の納豆菌がヨーグルトの乳酸菌を増やす作用があるから。
このような実験があります。
乳酸菌をシャーレーの中に入れて単独で培養したところ、乳酸菌は10倍しか増えなかったものが、納豆菌を一緒に混ぜて培養させたところ、100倍もの乳酸菌が増殖したという結果が出たのです。
つまり、食べる前に納豆と乳酸菌入りヨーグルトを混ぜて置いた方が、ヨーグルトを単独で食べるより乳酸菌の量が増えるというわけです。
納豆により乳酸菌が腸内で増えれば、腸内環境が整い、ヨーグルトを単独で食べるより、免疫力がアップし、風邪をひきにくい丈夫な体になりやすくなることが期待できるでしょう。
納豆ヨーグルトソースで生野菜を和えたり、カレーのトッピングとして納豆ヨーグルトを添えるというのもおススメな食べ方です。
納豆とヨーグルトを混ぜるのに抵抗がある人は、納豆を食べたあとにヨーグルトを続けて食べるという方法でも良いでしょう。
ビフィズス菌入りヨーグルトとの食べ合わせ
すべてのヨーグルトに乳酸菌は入っていますが、それに加えてビフィズス菌が入っているものがビフィズス菌入りヨーグルトです。
ビフィズス菌入りヨーグルトに使われているビフィズス菌は、ヒトの大腸に最も多く棲んでいる善玉菌で、大腸に棲んでいる善玉菌のなんと99.9%がビフィズス菌と言われています。
ビフィズス菌は、「乳酸」のほかに強力な殺菌力のある「酢酸」という有機酸も生み出し、腸内を酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑えます。
そして、大腸のぜん動運動を促す働きを持つため、ビフィズス菌ヨーグルトを毎日摂り続けることで便秘解消をより実感しやすくなります。
便秘解消したいという人は、乳酸菌入りヨーグルトより、大腸での活躍が期待できるビフィズス菌入りヨーグルトの方がおススメです。
ビフィズス菌は整腸作用だけでなく、免疫力を高める、ビタミンB群の産生、腸粘膜の正常化など、さまざまな健康作用があることが分かっています。
一方、納豆に含まれる納豆菌は、胃酸に強い性質を持っているため、胃酸で死滅することなく大腸まで生きたまま届きます。
腸内まで届いた納豆菌は、ビフィズス菌のエサとなったり、悪玉菌が棲みにくくなるよう腸内を酸性化させたり、腸内にいるビフィズス菌のサポートをしながら腸内環境を整えます。
抗菌力の高いジピコリン酸という成分も生み出し、有害な菌の繁殖を抑える効果も納豆にはあります。
そのため、納豆菌には、抗がん作用や免疫機能増強作用も報告されています。
納豆の納豆菌が腸内にいるビフィズス菌を増やす
では、納豆が腸内環境にどのような作用をもたらすのでしょうか。
人間や動物をつかった実験を行いました。
豚に納豆菌を投与し、腸内環境の変化を調べたところ、納豆菌が腸管のそれぞれの部位から検出され、胃酸で死滅することなく、腸管まで届くことが分かりました。
腸管内で乳酸菌やビフィズス菌の増加と安定化も認められました。
また、人間での実験では、納豆を毎日200g毎日2週間食べ続けたところ、実験前にくらべてビフィズス菌が12%も増殖しました。
この実験結果から分かることは、納豆菌は腸内にいるビフィズス菌を増殖させる働きを持つということです。
そして、納豆には、ビフィズス菌のエサとなる食物繊維とオリゴ糖がたっぷり入っています。
ビフィズス菌は、納豆から得られるエサ(食物繊維、オリゴ糖)を分解しながら、乳酸や酢酸といった酸性の物質を自ら作り出し、強い腸内環境を維持することができるのです。
このことから、納豆とビフィズス菌入りヨーグルトの相性はとても良く、一緒に摂ることで腸内のビフィズス菌の増加も安定もパワーアップすることが期待できると言えます。
納豆とオリーブオイルの食べ合わせ効果
オリーブオイルは、「オレイン酸」という成分が非常に多く含まれている油です。
オレイン酸は、不飽和脂肪酸の一種で動脈硬化につながりやすい悪玉コレステロールを減少させ、血中のコレステロールを正常化する働きがあります。
また、便秘解消に効果があることも知られています。
オレイン酸が便秘解消に効果である理由は、小腸の細胞に刺激を与えて、腸のぜん動運動を活発化させる働きがあるから。
小腸で消化吸収されにくいという性質があるため、大腸までそのまま運ばれていきます。
その後、大腸に溜まった便と混ざり合いながら便を柔らかくさせ、腸の滑りをよくする作用もあります。
- 腸に刺激を与えてぜん動運動を促す
- 便を柔らかくし、腸内での滑りを良くする
この2つの働きから、オレイン酸が含まれたオリーブオイルは便秘解消に効果があると言われているのです。
一方、納豆は大豆を原料としており、食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維という2つの種類の食物繊維が存在しています。
腸内の働きに理想的な比率というのが不溶性食物繊維2:水溶性食物繊維1という割合です。
納豆に含まれる食物繊維の比率がまさにこの不溶性食物繊維2:水溶性食物繊維1。
納豆に含まれる食物繊維は、腸にとって理想的な食物繊維なのです。
オリーブオイルと納豆で便秘解消効果
オリーブオイルの便秘改善の効果をさらに高めるには、食物繊維がたっぷり入った納豆を一緒に摂ることです。
私たちの体内には食物繊維を分解する消化酵素がありません。
消化されない食物繊維は大腸までそのまま届き、腸内のカスや老廃物、有害物質をからめとってお通じの材料とします。
オリーブオイルには、腸のぜん動運動を活発にしたり、腸内の滑りをよくし排便を促す作用を持っているオレイン酸がたっぷり含まれていますが、肝心のお通じの材料が十分に蓄えられていなければ、オレイン酸の効果も生かされません。
納豆には、食物繊維が豊富なのでしっかり便のカサを作ることができます。
そこにオリーブオイルが加わることで便通を効果的に促すことが可能となります。
納豆とオリーブオイルの食べ合わせ方ですが、納豆1パックの中に直接オリーブオイルを小さじ1~2杯ほど混ぜて食べるというシンプルな方法でも良いですし、オリーブオイルをドレッシングにした野菜サラダとともに納豆を食卓に出すという方法もありでしょう。
まとめ
納豆には、食物繊維やオリゴ糖、そして納豆菌といった、腸にいい栄養素がたっぷり入っています。
納豆単品で食べるより、乳酸菌やビフィズス菌入りヨーグルトとともに食べることがおススメです。
納豆とヨーグルトの相乗作用によって腸内の善玉菌を増殖できることが実験によって明らかになっているからです。
また、納豆とぜん動運動を促し、腸内での滑りを良くするオリーブオイルとの食べ合わせも便秘解消に役立ちます。
納豆とヨーグルトやオリーブオイルの食べ合わせは、1回だけでなく、毎日継続することがとても大事です。
食べやすい方法を自分なりに見つけて、ぜひ続けてみてください。