ポリフェノールは食べ物だけではなく飲み物の中にもたっぷりと含まれています。
特に、赤ワインや緑茶が有名で含有量もそれなりに多く、毎日の健康や美容をサポートしてくれるのです。
飲み物によって配合されているポリフェノールは異なり、種類によって得られる効能は異なるので詳しく見ていきましょう。
緑茶のポリフェノール含有量と効果とは?
緑茶の中には100ml当たり110㎎のポリフェノールが含有されており、自動販売機やコンビニなどで気軽に購入できます。
日本人が古くから親しんでいるお茶なので、毎日飲んでいる方は多いのではないでしょうか。
数多くの飲み物の中でもポリフェノールの含有量は多いですし、糖分が含まれたジュースを飲むよりも遥かに健康的なのです。
緑茶の渋味成分であるポリフェノールがカテキンで、どんな効果を持ち合わせているのかまとめてみました。
- 高い殺菌効果で細菌から身体を守り、インフルエンザを中心とする感染症を予防する
- 体内の活性酸素を適度な量で保って老化を防止する
- 腸内の悪玉菌の繁殖を抑え、善玉菌とのバランスを整えて便秘の改善や予防に繋がる
- 最高血圧と最低血圧の両方の降圧効果を持ち、高齢者に多い高血圧を未然に防ぐ
- アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー症状を緩和する
カテキンの科学的なデータは三重大学大学院医学系研究科やアメリカ国立ガン研究所、リフォルニア大学サンディエゴ校といった場所の疫学調査や臨床試験で証明されています。
正確にはフラボノイド系のフラバノール類に属される栄養素ですが、ポリフェノールの一種という点では一緒です。
もちろん、ポリフェノールはあくまでも栄養素の一つですし、病気の治療効果を得ることはできません。
それに、健康や美容に良いからと言って緑茶に含まれるカテキンを過剰摂取していると、胃へと刺激が加わって荒れる原因となるので注意が必要です。
しかし、飲みすぎに注意していれば健康が阻害されることはありませんし、上記でご説明したように体内で良い働きを担ってくれます。
ペットボトルや紙パックなどの市販品に頼っても良いのですが、本来の味を楽しむために自宅では急須で淹れてみてください。
ウーロン茶のポリフェノール含有量と効果とは?
近年では様々な研究により、ウーロン茶ポリフェノールが身体の中で様々な働きをすることが判明しました。
ウーロン茶を作る際に発酵を進め、その過程で独特の成分のウーロン茶ポリフェノールが抽出されて飲み物として飲むことで体内に取り入れられます。
100ml当たりの含有量は39㎎とそこまで多くはありませんし、カフェインも配合されているので就寝前に飲みすぎるのは良くありません。
それでも、ウーロン茶ポリフェノールが持つパワーは絶大で、得られる効果について詳しく見ていきましょう。
- テアフラビンが優れた抗酸化作用を発揮して肌のシミやシワなどの老化を引き起こす活性酸素を除去する
- 肝臓の働きを強化して脂肪の燃焼を促し、体脂肪を減少させてダイエットの効果を高める
- 脂肪の燃焼だけではなく吸収を抑える働きもあり、肉類など油分を多く含む食べ物との相性が良い
これらの効能と合わせてカテキンが持つ血圧上昇抑制作用やテアニンから得られるリラクゼーション効果も期待できます。
毎日飲み続けるべき飲み物なのは何となくお分かり頂けるはずです。
1日3回の食事の中で1食だけでもウーロン茶を取り入れるだけでポリフェノールを効率良く摂取できます。
- 苦味の中にも甘味がある「鉄観音(てつかんのん)」
- ウーロン茶のシェアの半分以上を占める「水仙(すいせん)」
- 発酵度が低めで透き通る色をしている「黄金桂(おうごんけい)」
- 数回煎じても味や香りが持続する「武夷岩茶(ぶいがんちゃ)」
数多くの種類の中でもこれらのウーロン茶が人気を得ており、グレードが高いほど栄養素の含有量も多いのです。
コンビニで販売されているペットボトルの製品を飲むのも良いかもしれませんが、たまには高価なウーロン茶を淹れて飲んでみてください。
コーヒーのポリフェノール含有量と効果とは?
嗜好品としてコーヒーは男性からも女性からも人気で、「タバコを吸いながら飲むのが好き」という人も多いのではないでしょうか。
タバコとコーヒーの組み合わせは口臭の原因になりやすいので注意しなければならないものの、実はコーヒーにはカフェインよりも多くのポリフェノールが含まれているのです。
ポリフェノールの含有量は100ml当たり200㎎程度で、中でも発芽した時に双葉を出す植物の双子葉植物特有のクロロゲン酸が含まれています。
現在ではコーヒーやサプリメントでクロロゲン酸を簡単に摂取できるようになり、得られる効果をまとめてみました。
- 活性酸素によるダメージから体内の細胞を守ってシミやシワの老化を防ぐ抗酸化作用を持つ
- 脂肪の蓄積を抑えて中性脂肪が溜まった脂肪肝を予防し、メタボを改善してダイエット効果を高める
- 平滑筋を弛緩させて気管支喘息や狭心症といった病気の症状を緩和する
- 中枢神経系へと働きかけ、呼吸機能や運動機能を高める
- 善玉コレステロールの機能を高めて悪玉コレステロールを抑制し、脂質異常症を予防する
- 血糖値が急激に上昇するのを抑える(食事の前に1杯のコーヒーを飲むのは効果的)
上記のようにコーヒーの中に含まれるポリフェノールのクロロゲン酸が持ち合わせた健康効果は高く、5%~10%も含有されています。
コーヒーの複雑で重厚な香りや味はこの栄養素が深く関わっており、糖尿病や心疾患といった疾患のリスクを低減させることが様々な研究で確認されました。
ポリフェノールを含む飲み物としてお酒の赤ワインはかなり有名ですが、日本人の食生活ではコーヒーから多くのポリフェノールを摂取しているのです。
- コーヒー:47%
- 緑茶:16%
- 赤ワイン:2%
- 他の飲料:14%
- チョコレート:3%
- 他の食品:18%
このようなデータがあり、知らず知らずのうちに取り入れているケースは多いのではないでしょうか。
ただし、缶コーヒーの場合は原材料費を浮かせるために高温で長時間に渡って焙煎するため、その過程でクロロゲン酸は失われてしまいます。
熱に対して弱いのが大きなデメリットかもしれません。
赤ワインのポリフェノール含有量と効果とは?
赤ワインはポリフェノールを含む代表的な飲み物です。
- フラボノイド
- アントシアニン
- カテキン
- シンプルフェノール
- タンニン
これらのポリフェノールが赤ワインの中には含まれており、原料となるぶどうの果肉や果皮を使って長期間に渡って熟成させているのが大きな理由となっています。
100mlの赤ワインに対して230㎎と含有量が非常に多く、ビールやサワーといったアルコール類を飲むよりも遥かに身体に良いのです。
ポリフェノールの固まりの飲み物と言っても過言ではなく、以下では詳しい効果についてまとめてみました。
- 高い抗酸化作用によって体内の余分な活性酸素によって発症しやすい動脈硬化を予防する
- 脳細胞を活性化させて認知症の全体の50%以上を占めるアルツハイマーを予防する
- 適量の赤ワインを飲む習慣のある人はそうでない人と比べて痛風のリスクを抑えられる
- 脂肪を代謝する褐色脂肪細胞の粒を細かくして体内の中性脂肪の数値を減らす
- 肌のターンオーバーを促して古い細胞と新しい細胞を入れ替え、シミを減らしてハリを維持する
- 悪玉菌を減らして善玉菌を増やし、腸内環境を促して便秘や便臭を改善する
ワインは原材料によってスティルワイン(非発泡性ワイン)やスパークリングワイン(発泡性ワイン)など、複数の種類に分類されています。
どの製造法でも赤ワインにポリフェノールが豊富に含有されている点では一緒で、上記のような健康作用や美容効果を得られるからこそお酒の中でも注目を集めているのです。
もちろん、緑茶やコーヒーとは違ってアルコールなので飲めないのに無理に飲む必要はありません。
適量であれば身体に良い働きをしてくれても、飲みすぎで身体が蝕まれるリスクが高まるので十分に注意してください。
白ワインのポリフェノール含有量と効果とは?
ポリフェノールを含有している飲み物として赤ワインが代表的ですが、白ワインの中にも同じように含まれています。
アルコール度数が低いお酒が多く、桃や林檎に似た味わいなので赤ワインよりも白ワインの方が好きな人は多いかもしれません。
- 赤ワインの2倍の殺菌能力を持ち、サルモネラ菌や大腸菌を殺してアンチエイジングに繋がる
- 抗菌作用に合わせて高い抗酸化作用により、細胞の老化を防止して美肌効果を得られる
- 体内のナトリウムと一緒になって体外へと排出し、女性が悩みやすいむくみを解消する
白ワインのポリフェノールには上記のような効果があり、風味の良い日本の葡萄を使った白ワインやブルゴーニュ地方のワインが有名です。
赤ワインと同じように健康効果や美容効果は高いのですが、残念ながらポリフェノールの含有量はそこまで多くありません。
赤ワインが100mlで230㎎なのに対して白ワインは28㎎以下となっており、「ポリフェノールの摂取には赤ワインが良い」と言われている理由です。
その代わりに、白ワインの中にはポリフェノールだけではなく有機酸と呼ばれる成分がバランス良く含まれています。
- オレイン酸
- リノール酸
- リノレン酸
- クエン酸
- アミノ酸
- リンゴ酸
白ワインの種類によって異なるものの、これらの有機酸の摂取で腸内環境が酸性の状態に傾き、悪玉菌の活動を防いで下痢や食中毒を予防してくれるのです。
腸内環境を整える以外にも血行や代謝を促したり、疲労回復効果を高めたりといった作用を持ち、健康をサポートしてくれるのは間違いありません。
赤ワインよりもどちらかと言うと飲みやすいですし、お酒が好きな方は白ワインを試してみてください。
ココアのポリフェノール含有量と効果とは?
ココアはほんのりとした甘味とコクを持ち、喫茶店だけではなく自宅でも飲んでいる方はたくさんいます。
冬場の寒い時期には身体の内側から温めてくれるココアが人気です。
そんなココアの中には意外にもポリフェノールが多く、1杯の含有量は大よそ72㎎程度となっています。
緑茶や赤ワインと比べると含有量は少ないのですが、子供でも大人でも美味しく飲めるのが大きなメリットです。
ココアの中にはチョコレートと同じカカオポリフェノールが含まれており、どんな効果が期待できるのか見ていきましょう。
- 血管を広げる作用を持ち、血圧低下作用によって高齢者が引き起こしやすい高血圧を予防する
- 高い抗酸化作用によって血液中のコレステロールが酸化して引き起こされる動脈硬化を予防する
- ココアの中に含まれているテオブロミンが自律神経の交感神経と副交感神経の2つのバランスを整えてリラックス作用を高める
- 肌の老化を防ぐのでエイジングケアに繋がり、加齢によるシワやたるみのスピードを和らげる
- アレルギーの原因物質となる活性酸素の働きを弱めるので花粉症の症状を和らげる
含有量が少ないながらも様々な健康作用や美容効果が期待でき、身体の保温力が高いので冷え性で悩む女性にピッタリの飲み物です。
冷え性で悩む割合は男性よりも女性の方が圧倒的に多く、以下の原因が考えられます。
- 1ヶ月に1回程度のサイクルで起こる生理で血液の量が一時的に減少する
- 卵巣や子宮を持つ女性は身体全体に熱が運ばれにくい
- 男性よりも筋肉量が少ないので体内で熱を生み出す力が弱い
- 食べる量を極端に減らすダイエットでエネルギーが生成されにくくなる
冷え性が悪化するとだんだんと免疫力や抵抗力が弱まり、病気を患いやすい体質へと誘われるので冬場は特に温かいココアを飲んでみましょう。
まとめ
以上のように、普段から口にすることの多い飲み物の中にもポリフェノールは含まれており、摂取は難しいわけではありません。
ポリフェノール以外にもビタミンやミネラルなど毎日の食事で不足しやすい栄養素は多く、飲み物でも十分に補給できます。
もちろん、カフェインやアルコールが含まれている飲み物は過剰摂取してはいけませんし、バランス良く毎日取り入れるのが大事です。
数多くの栄養素の中でもポリフェノールは3時間~4時間程度で体外へと排出されやすく、体内に留めておくことができないので少しずつ飲んで摂取するようにしてください。