お腹の調子を整えるために必要な善玉菌は、食生活を改善することで増やせます。
今回は、善玉菌を増やすことでどのような良い影響を体にもたらすのか、善玉菌を増やすにはどのような食事をすれば良いのかをご紹介します。
善玉菌が増えると何が良いのか
腸内には善玉菌と悪玉菌が存在しています。
この2種類の菌のバランスによって腸内環境は良くも悪くもなるのですが、実は、第3の勢力となる菌もいることはご存知でしょうか。
第3の菌は、日和見菌と呼ばれており、その名の通り腸内環境を見て変化する特性を持っています。
悪玉菌が増えると悪玉菌と同じはたらきをし、善玉菌が増えると善玉菌の味方をします。
仮に善玉菌と悪玉菌が等しい数で存在していたとしたら、この日和見菌がどちらに味方するかで腸内環境が変わってしまうのです。
腸内環境を整えるには、単純に善玉菌を増やすだけではなく、善玉菌が悪玉菌よりも多い状態を作らなくてはなりません。
日和見菌に善玉菌の方が優勢だと理解させ、悪玉菌を退治する側にまわってもらいましょう。
腸内に善玉菌が増え、日和見菌も善玉菌側にまわると、腸内以外の部位にとっても良い影響が生まれます。
- 糖質やタンパク質の分解を助け、消化を手助けする
- 腐敗便(臭いの強い便)を改善し、腸を刺激してぜん動を促す
- アミノ酸やクエン酸など体に必要な物質を産生する
- ステロイドホルモンやセロトニンなどホルモン産生にも役立つ
- 腸内を酸性に保ち、病気の感染を防ぐ
- 発がん物質の分解や無毒化を行う
食べ物に含まれる栄養素を分解し、消化をするのも善玉菌の力です。
分解がスムーズに行われれば腐敗便の予防にもなり、ガスをたくさん作り出す悪玉菌のはたらきの抑制にもつながります。
分解した栄養素からアミノ酸やクエン酸、ホルモンなどの産生も行うため、腸内だけではなく全身の健康状態の維持も手伝っています。
幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンやドーパミンも善玉菌のはたらきで生まれるため、精神的な健康にも一役買っていると言えます。
分解と産生、善玉菌のこのようなはたらきで、腸内は酸性に保たれます。
実はこの酸性に傾いた環境も健康には重要です。
病原菌の多くが酸性の環境に弱く、善玉菌がはたらいて腸内が酸性に保たれ続けていれば、現状の健康維持とともに病原菌の感染予防にもなります。
善玉菌や悪玉菌のはたらきにより腸で吸収される栄養素や毒素は、やがて全身に運ばれます。
善玉菌を増やして腸内環境を改善することは、体をめぐる毒素を減らし、全身の健康状態を改善することでもあるのです。
あなたが心も体も健康な状態でいたいなら、腸内環境の改善から始めることが最も手軽で効果的な方法です。
腸内環境を整える善玉菌を増やすには、直接影響を与える食生活を見直してみましょう。
善玉菌を増やす食べ物とは
善玉菌を直接摂取するなら、発酵食品で乳酸菌を摂るか、ビフィズス菌がプラスされた加工食品を選ぶ方法が手軽です。
乳酸菌を含む発酵食品
- ヨーグルト
- 漬物
- 納豆
- 味噌
- 塩麹
ビフィズス菌も厳密には乳酸菌の仲間なのですが、活動範囲が主に大腸であることから、他の乳酸菌とは区別されることが多い存在です。
ビフィズス菌など乳酸菌の多くは胃酸で死滅します。
これを腸まできちんと到達させるには、『生きて腸まで届く』と書かれている商品を選ぶか、摂取方法に注意しましょう。
おすすめは、食物繊維とオリゴ糖を乳酸菌やビフィズス菌入り食品と一緒に摂ることです。
食物繊維の豊富な食材
- ゴボウ
- 大豆やいんげんなどの豆類
- よもぎ
- ゆりね
- 昆布
- グリンピース
- にんにく
- モロヘイヤ
食物繊維は乳酸菌が入り込むシェルターの役割を担ってくれるため、胃酸で死滅する乳酸菌の数が格段に減ります。
オリゴ糖はビフィズス菌のエサとなるため、胃酸で多少死滅してもオリゴ糖を取り込んだビフィズス菌が増えて、多くの数が腸まで届くようになります。
また、食物繊維は便のかさを増し、便通を改善。
オリゴ糖は砂糖の約半分ほどのカロリーしかありません。
どちらの食品も善玉菌を増やす他にダイエット効果も期待できます。
食べるタイミングとしては、食事の最後や食後がおすすめです。
食事で胃酸が薄まっているタイミングで食べると、胃酸による乳酸菌の死滅リスクも減ります。
食物繊維の多い食事をした後、デザートにオリゴ糖をかけたヨーグルトを食べる、という方法はいかがでしょうか。
勿論、ヨーグルト以外の食品にもオリゴ糖は使えます。
普段使う砂糖の代わりにオリゴ糖を使うことで、善玉菌を増やすことができます。
効果のある食べ物を、効率良く摂取することも大切です。
乳酸菌はLS1やガセリ菌など種類も豊富なので、いくつか種類を食べてみて自分の体に合ったものを選ぶと良いでしょう。